手づくりビジネスの常識と非常識その2
革の小物を作って長く手作り市で販売を続けている女性がいました。
彼女の作る革小物は小さなキートップとか、革のキーホルダーとか、財布とかなのですが、売り方が上手なのでとても沢山の人が買っていきます。
ポイントは手頃な価格であること。そして商品の魅力を伝えるのが上手であること。
だいたい1つ300円から500円前後、鈴とカニづめのついたキートップ300円が売れ筋です。
カニヅメのついたキートップとういのは女性ならではの発想商品なのです。
女性の服にはポケットが少ない、だから自転車のキーはどうしても鞄の中にしまい込まれてしまいます。
ところがかばんに入れると出すときに手間取ってしまう。そこでこのカニヅメが役に立つのです、かばんの持ち手にさっと掛けておくことが出来るのです。
彼女はこの便利さをしっかりアピールするので女性の人はすぐに買っていきます。それに安いということもあり、友達の分まで買っていきます。だから一人単価が1000円近くになるのです。
実は一度工房におじゃましたことがあります。
このキートップはとても売れるので手作り市に出ない日はずっとこれを作っているそうです。
この工房はほとんど家内制手工業の工場の状態となっています。
生活のためとはいえ少し残念でした。実は彼女はファッション雑誌からインスパイアされておしゃれな革と籐のコンビネーションのバッグなども作れるセンスを持っているのですが、そういうものはほとんど作る時間がないそうです
そこで私が提案したのは、障害者の通う授産施設このキートップの制作を依頼してはどうかということです。
授産施設では技術がないので商品力がないものしか制作出来ません。だから技術を教えてもらえればお仕事を手伝えるというのです。
300円の商品を150円で制作してもらう、たしかに前より利益は減るかもしれないが、余った時間で付加価値の高い商品を作ることに集中できるのと思ったのです。
ですがこの話は結局実現しませんでした。授産施設が競争相手になってしまう思ったのかもしれません。
ビジネスにはリスクはつきものです。そのリスクをいかにうまく乗り越えるかでステージが上がっていく。
そのセンスは物を沢山売ったからといってもてるものではないようです。